病棟診療

神経精神科の病棟では精神科指定病床を運用して診療にあたっています。病床は数は36床で、精神科病床では最も手厚い10対1看護を採用しています。入院形態としては、任意入院から応急入院まで、あらゆる入院に対応できます。また、公設大学としての地域貢献、そして特定機能病院としての高度医療の提供に努め、患者さんの負担を最小限にするために最良、かつ最短の入院治療に努めており、平均入院期間(在院日数)は40日以下です。そのために年間の入院患者数も多く、後期研修医や専門医専攻医は多数、かつ多様な患者さんを短期間に経験し、精神科専門医、あるいは精神保健指定医申請を最短期間で準備することができます。
入院治療は、外来診療から切れ目なく行われる他、高度救命救急センターをはじめとする院内各診療科から、積極的に精神症状を呈する患者さんの転棟をお引き受けしています。また、関連保健・医療機関からの入院依頼にも積極的に対応しています。その他、社会のニーズ、そして患者さんのニーズに応えるために、認知症パス入院と、発達障害パス入院を導入しています。
病棟医は、2グループ体制で診療にあたり、グループ・カンファレンスと診療科の全体カンファレンス、そして毎週実施される症例検討会において、患者さんに関する情報収集と共有、診断と治療方針の検討、地域ケア計画などについて看護師、臨床心理士、精神保健福祉士、作業療法士など多職種で話し合いが行われ、患者さん一人一人を多職種で支えるイメージを基本に多職種チーム医療を実践しています。

外来診療

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当院の病床数は36床で、精神科では最も手厚い10対1看護を採用しており、平均在院日数は40日を切っています。入院外来診療は、7診療室体制で行っています。新患診察は予約制で2人/日と関連医療機関からの急患対応で行っており、コンサルテーション・リエゾン新患は人数制限なしで対応しています。
外来患者数は、各臓器別内科とほぼ同じで多くの患者さんの診療にあたっています。
一般外来では、あらゆる精神疾患に対応しています。さらに、以下の専門外来を擁しています。

・リエゾン・コンサルテーションと緩和診療
・もの忘れ専門外来
・GID(性同一性障害)クリニック
・こどもメンタルクリニック

各専門外来の詳細は、下記紹介を参照して下さい。
再来では、患者さんに応じて臨床心理士によるカウンセリングと心理検査も併用しています。また、当教室に所属する2名の精神保健福祉士が患者さんの心理社会的背景に対してソーシャルワークに当たります。外来診療では、医師、看護師、臨床心理士、精神保健福祉士、他診療科スタッフや中央部門のコメディカル・スタッフ、そして地域の関連保健・医療機関との協働、チーム医療に心がけ、患者さんにとって最良の医療の提供を心がけています。

 

リエゾン・コンサルテーションと緩和ケア

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大学病院のような総合病院では、日々、精神科医が、他の診療科に入院中の患者さんのメンタルヘルス不調に対応しています。このように、さまざまな診療科の患者さんに生じた精神医学的問題に対して、精神科医が他の診療科スタッフと精神科医が協働して患者さんの見立てやケアにあたることをコンサルテーション・リエゾンと言います。当科では、特にこのコンサルテーション・リエゾンに力をいれており、精神科医、精神科認定専門看護師、臨床心理士がリエゾン・チームを形成し、約1,200件のコンサルテーションに対応しています。患者さんの代表的な主訴、依頼理由は、不眠、不安、抑うつ状態、せん妄などです。
また、当院は、がん診療連携拠点病院に指定されていることから、緩和ケアに積極的に取り組んでおり、精神科医が緩和ケア・チームの一員として、多診療科・多職種とともに患者さんの症状緩和や危機介入等の診療活動に従事するとともに、地域における緩和ケア研修会の運営・講師業務などにあたっています。
コンサルテーション・リエゾンと緩和ケアは、道内で総合病院を拠点に地域医療を支える当教室にとって特に重要な診療領域です。特にこのような拠点病院では、コンサルテーション・リエゾンと緩和ケアに代表される、高度なチーム医療が求められており、あまり知られていませんが、精神科の積極的な関与が、患者さんの入院期間の短縮化に果たす役割が大です。近年は、高度救命救急センターからのコンサルテーション・リエゾンの依頼件数で最多となっており、中でも、自殺企図、自傷行為に関する依頼が最多です。当教室では、最近、自殺未遂者の自殺再企図防止について世界で初めて高いエビデンス・レベルでその方略を明らかにした、自殺対策のための戦略研究ACTION-J(Kawanishi et al., Lancet Psychiatry, 2014)に準拠した自殺未遂者のケース・マネジメント介入を高度救命救急センターとの協働で実践しています。また、これらの活動をもとに、患者さんのご協力を得てさまざまな臨床研究に携わっています。

 

もの忘れ外来

高齢化社会から超高齢化社会へと進展していく中で、認知症患者数が増大しています。認知症患者の医療に求められているのは、単に検査、診断、投薬ではなく、認知症の
主要症状と周辺症状によってもたらされる生活障害や対人関係の障害のケアと治療です。当科では、2000年4月より「もの忘れ外来」を開設しており、下記のような取り組みを続けています。

・認知症の早期発見、鑑別診断とそれに基づくケア計画と治療方針の策定
・特定機能病院ならではの専門的、かつ高度な検査の実施
・病棟との連携による認知症パス入院の導入
・BPSDなどの周辺症状や、身体合併症を伴う患者さんへの対応
・精神保健福祉士と、ケアマネージャーなど地域の介護ケア担当者との連携による最適の地域包括ケアシステムの構築のための支援

後期研修医や専門医専攻医は、もの忘れ外来を経験したり、認知症パス入院担当医として、認知症診療のトレーニングを行います。なお、河西教授を含め、神経精神科、およびもの忘れ外来では複数の日本老年精神医学会認定指導医を擁し、附属病院は同学会の認定施設ともなっているので、認定医の取得を目指すことも可能です。また、患者さんのご理解と同意のもと、認知症の病態とケア、治療に関連するさまざま研究も実施しているので、研究活動への参加も可能です

 

GID(性同一性障害)クリニック

自らの性別について、違和感や不快感、嫌悪感を感じ苦しんでいる人が少なくありません。当科は、産婦人科・泌尿器科・第一外科・形成外科と協働して、性同一性障害(Gender Identity Disorder, )の専門外来、「GIDクリニック」を平成15年より開設しており、日本精神神経学会のガイドラインに準拠した診断、治療を行っています。
GIDの名称や概念は、以前と比べるとより普及してきてはいるものの、診断から治療までを一貫して行っている大学病院はかなり稀で、北海道内には当院が唯一であり、その社会的存在意義と当科の使命は大きいと考えています。
当科では、2名の医師が診察を行うとともに、臨床心理士による精緻な問診や各種心理検査が実施され、精確な見立て、診断に努めています。また、各治療段階において、患者さんのサポートを行っています。
(受診希望のかたが極めて多く、対応が追い付かない現状があります。このウェブサイトをご覧になって受診をお考えになったかたは、受診の方法はこちらでご確認ください(予約制,http://web.sapmed.ac.jp/hospital/guide/mumhv60000002vz7.html

 

こどもメンタルクリニック

近年、子どものこころの問題は深刻化しています。うつや不安を抱えた子どもが増えています。また、自閉スペクトラム症やADHD(注意欠如多動症)などの発達障害と診断される子どもの数も増加しており、子どものこころと発達の問題に対する専門的な診療の必要性が高まっています。
児童思春期外来では、小学校高学年(概ね10歳以降)から思春期の、こころの悩み、発達の遅れや偏り、行動上の問題に関して、診断を含めた見立てを行い、治療、支援を行います。当専門外来では、医師をはじめ、心理士、看護師、精神保健福祉士などの多職種が連携し、家庭・学校・福祉施設と協力しながらお子さんを支えていきます。必要に応じて、各種検査や心理カウンセリングも行います。